離婚後の生活にも少しずつ慣れ、実家で静かな日々を過ごしていたある夜のことでした。
その日は、2階の自室でくつろいでいた私。
いつも通りの穏やかな時間のはずが、「トン、トン、トン」というノックの音が静寂を破りました。
家族の誰かだろうと思ってドアを開けたものの――そこには、誰もいませんでした。
「気のせいかな」とその場をやり過ごしましたが、翌朝、両親に確認してもやはり誰もノックはしていないとのこと。
普段と変わらぬ空間に、ふと混ざり込んだ異質な“気配”。
それは単なる偶然だったのか――いいえ、今思えば、あれがすべての“始まり”でした。
🔦勝手に点灯するランタンと、静かに近づく気配
次に異変が起きたのは翌朝のことでした。
夜明けにトイレへ向かおうと部屋を出ると、廊下に置いてある非常用ランタンの灯りが、ついていたのです。

我が家では普段ランタンを使うことなどありません。誰かが点けたわけでもない。
一度は消してトイレへ向かいましたが、戻ってみると――また、灯りがともっていました。
「やっぱりおかしい」
その瞬間、背中に薄ら寒い感覚が走りました。
そして、その日以降、夜になると誰かの気配がそばにあるような感覚や、わずかな物音が続くようになりました。
けれど、不思議なことに、それが“怖い”とは思わなかったのです。
むしろ、どこか冷静にその存在を受け入れている自分がいました。
🌀少しずつ蝕まれていく心と体
奇妙な出来事が続いていたある時期から、私の体調は目に見えて悪化していきました。
- 朝起きるのがつらい
- 気力が湧かない
- 頭がぼんやりと重い
- なぜか、理由のない焦燥感と不安
一日を過ごすことがこんなにも辛いと感じたのは、初めてのことでした。
「これは…何かおかしい」
そう思った私は、以前お世話になった占い師にLINEで連絡を取りました。
📷“後ろ姿の写真”と、不穏な返信
私が状況を説明すると、占い師から「後ろ姿の写真を送ってください」と指示がありました。
鏡越しに自分の背中を撮影し、LINEで送信。
すると、すぐに返信がありました。

「何者かは特定できませんが、あなたには“憑いている”と思います。
除霊はチームで行います。費用は3万円かかってしまうので、
本当に限界が来たら、また連絡してください。」
その額に一瞬戸惑いつつも、「もしこれで元に戻れるなら…」という思いもありました。
けれど、本当に除霊が必要なのか――心の奥では、まだ迷いがありました。
結局その時、私は除霊しようとまでは思いませんでした。
それが“間違いだった”と気づくのは、もう少し先のことです。
📘次回予告:「除霊の日」。壊れゆく心が選んだ、最後の手段
コメント